家庭教師の雑感

家庭教師をしている横井が、受験や勉強に関するお役立ち情報を書きます。

外さない文章の書き方〜小論文・感想文・ビジネス資料〜

小学生から社会人まで、文章を書く機会は数多くあります。それなのに、文章の書き方を教えてくれる機会はあまりありません。

私は社会人になるまで文章の書き方を知らず、作文やレポートの課題がでた時にはどうやって書けばいいのかわからず困ったものでした。小学生の頃は毎年読書感想文の課題に頭を悩ませ、400字詰めの原稿用紙を前にして、う〜ん、う〜んと長々と唸っていました。

しかし、社会人になって経営コンサル会社に入社し、文章の書き方を訓練されてからは、短い文章でも長い文章でも、簡単に文章が書けるようになりました。

私の経験からすると、文章を書けないという人は書き方を知らない可能性が高いと思います。

そこで、この記事では文章の書き方を解説したいと思います。

ただし、読書感想文のコンクールで賞状をもらうとか、特段に優れた文章を書く秘訣ではないです。大衆に晒されても恥ずかしくないレベルの文章を手早く書く方法です。

 

具体例がある方がわかりやすいと思うので、次の例題を解きながら解説したいと思います。

 

「あなたは『地産地消』の取り組みをどのように評価するか。」

 

構成

文章の構成は

  • 導入
  • 結論
  • 根拠

からなります。

導入部は、結論を述べる前に、読者の意識を話題に向けるためのものです。いきなり結論を述べられては、突飛すぎて読者がスムーズに理解することができません。

結論は、あなたの言いたいことです。その文章を通して一番伝えたいことを書きます。

根拠は、あなたの結論が正しいと言うための理由です。主張の説得性を増すために、複数用意するといいでしょう。ただし、多すぎても読者が理解しきれないので、3個から5個程度を目安にすると良いと思います。

   

骨組みを作る

文章を書き始める前に、まずは骨組みを作ります。骨組みとは構成要素(導入・結論・根拠)を短く、箇条書きで書くということです。

いきなり文章を書き始めては、思いつくままに書いてしまい、方向性の見えない理解しにくい文章になりがちです。なので、まずは骨組みを作り、後から付加的な説明を足していく方法をとりましょう。

 

各要素の詳しい書き方はこれから見ていくとして、私が考えた、例題の導入・結論・根拠はこんな感じです。

 

導入:最近ではスーパーで地産地消のコーナーを見ることも多くなった。地元で採れた野菜ということで、安心・新鮮というメリットを強調している。しかし地元産品はスーパーの言う通り、良いことしかないのだろうか。地元産品のデメリットも踏まえ、地産地消に対する私見を述べたい。

 

結論:地産地消の取り組みは、地場産業を活性化する素晴らしい取り組みではあるものの、経済合理性や供給量の観点からその効果は限定的である

 

根拠1:地産地消は、地方創生・食料自給率向上・地域文化理解に繋がる

根拠2:しかし、輸入品や他地域品と比べると、価格対品質という観点では売れにくい

根拠3:さらに、地元消費者が需要する量を、地元農家だけで供給できるのはごく一部の品目のみ

 

結論の考え方

まずは結論を考えます。あなたの一番伝えたいことを端的に表現してみましょう。

結論で文章の出来の8割が決まると言っても過言ではないので慎重に考えます。以下のことを確認すると良いと思います。

  • 根拠の書きやすさ:最低3つは根拠を書けるか
  • 網羅感:物事の全体を考えているだろうか。メリットだけ、デメリットだけを取り上げたり、物事の一つの特徴だけを取り上げたりしていないか
  • 思考の深さ:結論を読んだ時にもっと知りたいと思える程度に深く考えられたものであるか。既に真理と認められている結論はやめよう(健康のためには睡眠が大事だ等) 

 

根拠の考え方

次に根拠を考えます。結論を支える理由です。結論の正当性を高めるため、根拠は複数用意します。以下のことを確認しながら考えると良いと思います。

  • 網羅感:結論を支えるための根拠は全て揃えているか。(主張がAではなくBだ、の場合、Aでない理由とBである理由を揃えているか等)
  • 事実・常識・お墨付き:根拠がデータに基づく事実か、もしくは一般常識から容易に推測できることか、あるいは専門家から認められていることか

もし調べることが許されているなら、主張の正当性を支えるデータがないか、専門家の発言がないか検索すると良いでしょう。もし試験などで調べることが許されていない場合、一般常識からの推測を使って正当性を高める方法をとりましょう。 

 

結論と根拠を考えるフェーズは、実際には結論を考えてから根拠を書くという順序ではなく、同時に行います。結論を思い浮かべて、それを支える根拠を考える。根拠を考えたり、調べたりしている中で、より良い結論を思いつくことがよくあります。そうすると、そちらを結論として、また根拠を考える、というように結論を考えたり根拠を考えたり、行ったり来たりして考えます。

 

導入の考え方

最後に導入を考えます。読者の意識をスムーズに話題に向けさせ、自分の結論を容易に理解させるための前置きです。

まずは世間一般に認められている事実・常識から話を初めて、問題を提起します。読者の疑問を喚起するわけです。その答えとして、自分の結論を述べるという流れです。 

 

肉付けをする  

骨組みができれば、次は課題の文字数に合わせて肉付けをしていきます。大抵の課題では、文字数に制限があります。「◯字程度で」のような条件です。骨組みができていれば文字数は、長かろうが短かろうが簡単にかけます。

短ければ骨組みのみ書けば良いし、長ければ肉付けします。

肉付けとは、導入や根拠の部分をより詳しく述べるということです。

詳しくするためには

  • 具体例
  • 自分の経験
  • 根拠を支える統計データ
  • 根拠に賛同している専門家の声

などを記述する方法があります。

文字数に合わせて、付け足していけば良いです。

 

例えば、私が上で書いた根拠2について、肉付けすると以下のようになります。

 

地元で作られた農作物が売れるためには、輸入品や他の国内地域からの商品との競争に打ち勝つ必要がある。消費者が商品を選ぶ際に考える基準は価格と質であろう。地元農作物は往往にして大量生産されていないため、割高という価格面でのデメリットがある。では価格が高くなった分、質も高くなっているのだろうか。確かに、地元農作物には安心・新鮮というメリットはあるが、肝心の味という点では明確な強さを感じることは少ない。

価格対質という観点から言えば、分が悪いだろう。その証拠に、私がよく行くスーパーでは地産地消の商品はよく売れ残っており、値引き対象となっている。

 

長くしようと思えば体験談を増やしたり、実際の価格データを記述したりして、いくらでも長くすることができます。

 

結びを書く

全ての根拠に肉付けしたあとは、最後に結びを書きましょう。結びはあなたの文章の重要ポイントの確認をすれば良いです。ただし、既に使った表現を単純に繰り返すことは避けましょう。表現力に乏しい文章という印象になってしまいます。

例題の文章について結びを書くなら、こんな風になるでしょう。

 

地産地消には地元の発展・交流という夢があるが、その夢を地元全体で共有し、現実のものとするためには、まだまだ乗り越えるべき課題が多く、一朝一夕には効果を実感できないだろう。

 

以上、文章の書き方を簡単にみてきました。まずは色んなお題について、あなたの主張の骨組みを書く練習をしてみてください。骨組みがかけるようになれば、肉付けは簡単です。最初は自分の経験談を交える方法を使うと書きやすいと思います。

 

  

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