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今回は、中高一貫校で塾に通う必要はあるのか、について話していきたいと思います。
中学での通塾について
学校説明会に行くと、学校の先生が、「うちは塾は不要です、学校の勉強だけで難関校に合格できます」と説明されるのをよく聞くと思います。
実際に通塾率を教えてくれる学校も多いです。中学時にはほとんどの生徒が塾には通っていなくて、例えば通塾率10%、みたいな数字を出してくるところが多いと感じています。
僕がこの数字を聞いた時、「本当か〜?塾行っているのに、行ってないと嘘ついて答える生徒が結構いそう」とか、ちょっと歪んだ考えで聞いてたんですよ。X、Twitterなんか見ているともっといそうな気がするので。
でも、ある時から、この数字って結構本当だな、中高一貫の中学で、塾に通ってる人ってかなり少ないんだなと思うようになりまして。と言うのも、僕が運営している中学校検索サイト「スクマ!」では、中高一貫校の卒業生に中高生活についてインタビューして記事にしているですが、その記事作成のために、色んな学校の卒業生にインタビューしています。インタビューする時には、「通塾していましたか?」という質問はほぼ必ずするのですが、中学では通塾してなかったと答える人がほとんどでした。通塾してたという人は、本当に10%いないくらいだったと思います。
このインタビュー記事って、インタビューされる人は匿名にして、特定できないようにして書いているので、インタビューされる人が嘘をつく理由ってないんですよ。
それで、「ああ、中高一貫校生で中学から塾に行く人はかなり少数派なんだな」、と思うようになりました。
と、まずは数字の確認をしました。中高一貫校の中学で、通塾している人はかなり少数派、数字にして10%いないくらいだと。
それで、データの話は少し置いておいて、僕自身は、中高一貫校の中学で通塾が必要かどうか、どう考えているかと言いますと、基本的には必要ないと考えています。この理由は、まず、せっかく6年間のびのびできる中高一貫校に入ったのだから、のびのびしたほうが良いんじゃないですか?と考えているのが一つ。中高一貫校のメリットって色々あると思うのですが、そのうちの大きな一つとして、高校受験がなくのびのびと6年間を過ごせる、好きなことに打ち込みやすい、というのはあると思うんです。なのに、中学から塾に通ってしまうと、その良さを打ち消すことになってしまいます。
また、塾に通わなくても、学校の勉強だけで十分な勉強量だと考えていることが、通塾が不要だと考える2つ目の理由です。卒業生の多くがマーチ以上の難関大学に受かるような中高一貫校は、学校の課題量が普通の学校に比べて多いところがほとんどです。基本的には英数は中学3年間で高校1年までの勉強をしますし、授業で扱う内容のレベルも高いですから、きちんと学校の予習・復習・課題消化をしていたら、毎日2時間くらいはかかるんじゃないかな、と思います。中学時代の勉強量としてはそれで十分です。そこにプラスして、塾の課題とか塾に通う時間とか入れてしまうと、せっかくの中学時代が勉強ばかりになってしまいます。
例外なのは、本当にトップレベルの大学、東大とか京大とかの医学部を目指すケースくらいじゃないかな、と思います。そういう子は中学からバリバリ勉強するのは合理的だと思います。じゃないと勝てないですからね。あるいは、あまりに子供が勉強しなさすぎて、附属高校への進学が危ぶまれる場合に、強制的に勉強させるために塾に通わせるというケースもあり得ると思いますが、かなりレアケースです。
高校での通塾について
ここまで中学の話をしてきましたが、高校はどうなんだっていう話ですよね。高校での通塾率は、学年が上がるにつれてどんどん上がっていき、高校3年生の時は大半が塾に通っている状態、というのが一般的なようです。高校3年生時の通塾率でいうと、7割とか8割とかが多いです。これはスクマ!でインタビューした卒業生の通塾率もそれくらいだったので、納得できる数字です。
じゃあ、やっぱり高校では通塾が必要なんですね、と言われると、基本的にはそうですね、というのが僕の答えです。ただ、皆さんが思っている通塾のイメージとは違うかもしれません。漠然と通塾が必要だといってしまうと、何か学校の授業内容のレベルが物足りなくて、よりハイレベルなことを教えてもらうために塾に行かなければいけない、みたいなイメージになってしまうと思うのですが、これは少し違っていると思います。
まず、その高校のボリュームゾーンの生徒がいける大学を狙うなら、通塾はそんなにいらないと思います。そんなにいらない、ということは裏を返せば少し必要ということなのですが。。
どういうことかと言いますと、例えば、中学受験で四谷大塚の偏差値で50くらいの学校のボリュームゾーンの生徒の多くはマーチに進学します。なので、それくらいの偏差値の学校でマーチを目指すなら、基本的には学校の勉強だけで十分なんです。
これはなぜかというとですね、僕は家庭教師として中高一貫校生も教えていて、色んな学校の授業内容とか教材のレベルを知っているのですが、例えば、四谷大塚の偏差値50の学校の授業内容って十分マーチに合格できるレベルなんですね。教材のレベルも。だから学校の授業をきちんと消化していけば、当然マーチに合格できるレベルの学力がつくわけです。でも、その「きちんと消化する」が、科目によってはできないことが発生します。なので、ここを補うために、その科目だけ塾に行く、ということになります。
学校の授業のレベルは十分高いが、ついていけなくなったら塾を使うということですね。
一方で、学校の授業内容が物足りないというケースもあります。それは、その高校のボリュームゾーンの生徒が行く大学より上のレベルの大学を狙うケースです。例えば、先ほどの例で言うと、四谷大塚の偏差値50前後の学校から、早慶以上を狙うケースです。こうなってくると、学校の授業内容では少し物足りない場合があるので、そういう時は、受験で使う科目をがっつり塾で鍛えてもらうのが良いのかな、と思います。
結構よくあるケースなのが、中高一貫の進学校に通っていて、高校生になったから塾に通おうと思い、実際に通ってみたら塾の教材のレベルが学校の教材と同じようなレベルで、同じようなことを学校と塾で重複してやることになってしまったというケース。学校の復習を塾でもしたいという狙いであれば、狙い通りで良いのですが、そうでないなら、コースを変えたり、やっぱり学校の勉強に専念したりと、早期に手を打ったほうが良いですね。
ということで、今回は、中高一貫校に塾は必要か、というテーマでお話ししました。
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