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今回はちょっと軽めの話題です。
この前、久しぶりに大学時代の同級生と飲んで色々話しました。僕はもともと東大の工学部の化学生命工学科という、製薬系の学科にいたので、その夜集まった友達も製薬のバックグラウンドを持っていて、一人は東大卒業後に製薬企業に就職したあと、医学部再受験で医者になった人で、もう一人が東大を卒業したあと製薬企業に就職して今も変わらず、製薬企業に勤めている人でした。僕含めて合計3人集まったということです。そこで、「東大生って、勉強についてこういう傾向あるよな」ってことを思ったので、少しお話しします。
医学部の学士編入試験を受けた友達
で、医学部を再受験した人、太郎さんとしましょうか、太郎さんは、どうやって医学部再受験の受験勉強をしたのか、という話題になったわけです。まぁ僕が質問したのですが。
太郎さんが受けたのは、医学部に学士編入する試験、つまり入学後は大学2年生からスタートする試験で、入試の内容も普通の大学受験とは全然違うわけです。分子細胞生物学とか、結構、大学レベルの専門科目の内容が出てくるみたいです。それって、普通の大学受験と違って、合格のためのノウハウなんて世の中に出回ってないので、普通だと何をどう勉強すれば受かるかなんてわからないじゃないですか。
それでちょっと興味が湧いて、どういう受験勉強をしたのか質問したのですが、彼がいうには、彼の友達が以前医学部の学士編入試験を受けて、その際、それ用の予備校に通っていたので、予備校の教材を持っていたわけです。なので、太郎さんは友達から、その予備校の教材を譲り受け、一人でその教材で勉強を進めた、ということでした。で、見事合格、ということで、なかなかすごいと思うんですよ。一人で専門的な教材の勉強を進めて合格したというのは。で、すごいじゃんっていうと、本人は「え?でもわかりやすく書いてあるから、読んで理解して覚えるだけでしょ」という。
これを聞いた時に、多くの東大生に共通していることってこれだな、と思ったんですよ。自己解決力が高い。つまり、「一人で読み、理解し、覚える」という合格のために必要な、至って普通のこのプロセスを遂行する力が高い。でも、この力のある人が、実は世の中には稀なんですね。「一人で読み、理解し、覚える」。
「一人で読み、理解し、覚える」とは
それは僕が指導する中でもよく思っていることで。
まず「一人で読む」ということについてですが、例えば大学受験を目指している子に、市販の定番の問題集を使って教えることがあります。定番の問題集って、一人でも勉強を進めやすいように、かなりわかりやすく解説を書いてくれていると思うんですよ。でも、もちろん一人で勉強を進めているとわからないことって出てくると思います。それで生徒が僕に質問してくれますが、「君の理解力があれば、解説を丁寧に読めば理解できるんじゃない?」という場合が結構あります。
そういう時は、「ちょっと解説を一緒に読んでみようか」と一行一行丁寧に一緒に読むんですね。そうすると、特に問題なく理解してくれるケースが少なからずあります。要するに、そういう生徒は、解説がちょっとややこしそうだなと思ったら、そこで読み飛ばしちゃってるみたいなんですよね。そこを少しグッと我慢して丁寧に読めば、理解できることは多いです。
その段階をクリアしている生徒もいます。解説の中で、どの部分がどうわからないのか説明してくれる生徒ですね。それで、そういうとき僕は、「おお、できる子だな」と思いながら、喜び勇んで教えるわけです。ただ、東大に合格するような人は、もう一歩先をいっていて、自分で結構色々調べてくるんですね。これが「一人で理解する」ということです。その本の解説でわからなければ、別の、より詳しい本を調べてみるとか、そういえば授業中に先生が言っていたことにヒントがあるかもと思って、ノートを見返してみるとか。そういうことをして、色々調べてもわからない時に、先生に質問しにくる、という感じなのかな、と思います。
これ、僕自身、昔はわからないことがあったら速攻で先生に聞く人間だったので、その当時はすぐ聞いた方が速いじゃんって思っていたのですが、ある時を境に、できるだけ自分で調べてから聞くようにしました。ある時っていうのは、仲の良かった頭の良い友達が、結構調べてから聞く人で、その友達が自分で調べている姿を見た時に、「そこまで自分で調べるんだ。すげぇ、俺もやってみよ」と思って真似してみたんですよ。そうすると、調べると大体のことは答えが見つかることがわかり、そのうえ、調べている中で、いろんな知識が目に入ってきて復習にもなるし、知らなかったことも知れるしと、調べることって結構面白いと気づいたんです。そこから、自分で調べるようになりました。これが「一人で理解する」ということです。
で、この段階をクリアしている人は、大抵次の段階もクリアできるのですが、次の段階は「覚える」ということですね。読んで理解して得た知識を、パッと頭から取り出せるように繰り返し覚える。どれぐらい繰り返すのかとか、どうやって知識をアウトプットしやすくするのかとか、それは人それぞれ違うのですが、自分なりの「こうすれば試験まで記憶を保てる」というメソッドが確立しているのが大切ですね。これをできる人も実はかなり少ないんですね。同じことを繰り返しやって覚えるという作業は、面倒で退屈ですからね。その面倒さ、退屈さに勝てる人がなかなかいない。
と、ここまで「一人で読み、理解し、覚える」ことについて説明してきました。それで、この作業って実は根気さえあれば誰にでもできることなんですよね。解説を読み飛ばさない。できるだけ自分で調べる。繰り返すっていうことですから。もちろんこれができたからといって、絶対東大に受かるわけではありません。東大に受かるにはやはり理系なら理系の、文系なら文系の才能は必要だと思います。ただ、努力でできるはずのことをやらずに諦めちゃっているケースも結構多いんだろうなぁと思った夜でした。おしまい。
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