この記事の内容を音声で聞きたい方はこちらからどうぞ。
もう9月になりましたね。そろそろ秋ですね。秋といえば読書の秋、ということで、今回は読書は国語の成績を上げるか、についてお話しします。
国語の成績が悪い子供に、親御様が読書しなさいと言う話、よく聞きますね。一方で、塾の先生や、家庭教師の先生の中には国語の成績を上げるために読書をしてもあまり効果がない、という先生もいらっしゃいます。
で、正解はどっちだ、という話ですが、僕は、国語の成績を上げるために読書するのは効果があると思っています。
これは捉え方の話だと思っていて、確かに、読書量を増やしたからといって急に国語の成績は上がったりしませんが、でも読書している子の方が成績が上がりやすいのは感じます。
例えて言うなら、読書は筋トレなんですよ。野球を上手くなりたい人がいるとして、筋トレばっかりしてても野球は上手くならないけれど、でもやっぱり筋肉があると野球に役立つじゃないですか。そういうイメージです。
テストで点を取れるようになるには、問われやすいところを注意深く読むという読み方を学び、その上で、問いに答えるためのテクニックを学ぶ必要があります。
これはただ漫然と読書しているだけでは身につきにくいことです。普通に読んでいると、自分の興味のあるところに引き込まれてしまったり、よくわからないことがあってもスルーして読んだりしますよね。だから、読解問題を読むときの読み方と、普通に本を読むときの読み方は違うのです。
読書が国語の成績を上げる3つの理由
でも、それを前提としたうえでも、僕は読書は国語の成績を上げるのに意味があると思っています。それは、3つ理由があって、1つは読書をすることで生きた語彙が増えるから。2つ目は文章を読むスピードが上がるから。3つ目は一般的な論理展開の仕方が無意識のうちに刷り込まれるから、です。
まず1つ目の語彙の話ですが、語彙の豊富さっていうのは、やっぱり読書習慣がある子とない子とでは、全然違います。自分の興味のある本を読んでいて、わからない言葉が出てきたら、その言葉の意味を親に聞いたりしますよね。この言葉ってどういう意味?とか。興味のある本だと、内容を理解したいから自分から聞くことも多いと思いますが、そこまで能動的じゃないにしても、知らない言葉の意味をなんとなく推測して読んだりするじゃないですか。そういうことの積み重ねが豊富な語彙を築くんですね。1日で増える語彙の量は少なくても長期間続けば、圧倒的な差になります。
それに、これがめちゃくちゃ大事なんですけど、読書で自然と身につける語彙っていうのは生きた語彙なんですよ。その言葉をどういう場面でどういうふうに使うのが適切かがわかるわけです。使い方が感覚のレベルで身についている語彙です。一方で塾の教材や市販の語彙教材で集中的に語彙を増やしても、それは頭で意味はわかっても、実際にどんな場面でどんな風に使うのか、その言葉が出てきた時にパッと思い浮かぶレベルにはなかなかなりにくいです。死んでる語彙とまでは言いいませんが、生まればかりの子鹿みたいな感じです。使い方が曖昧でしっかり定着していないイメージ。生きた語彙を増やすのにはどうしたって時間がかかります。なので、これは読書する子の大きなアドバンテージです。
次に、読書が国語の成績を上げる2つ目の理由、文章を読むスピードが上がるから、についてです。これは読書するとハイスピードで読めるようになるという話ではなく、平均的なスピードで読めるようになる、ということです。
どういうことかと言いますと、中学受験の国語のテストで求められる読むスピードって、別に全然速くないです。一般的な大人が読むスピードより遅くても大丈夫なレベルなんですが、それでも全然読書しない子っていうのは圧倒的に読むスピードが足りないケースがあります。文章を読むときって、頭の中で色んな処理をしています。文字を目で追いながら、意味のまとまりごとに区切って理解し、入ってきた情報を頭の中で関連づける、みたいな感じです。読書しない子はそれに慣れていないのだと思います。読書しない子に音読させると、そこで区切って読む!?っていうことが度々あります。一方で読書習慣のある子は、そう言うケースはまずないです。ということで、平均的なスピードで読めるようになるために、読書は効果があると思います。
そして、読書が国語の成績を上げる3つ目の理由、一般的な論理展開の仕方が無意識のうちに刷り込まれるから、についてです。
一般的な論理展開の仕方というのは、例えば、筆者の主張と反対の主張を挙げて、それを打ち消す形で筆者の主張の正当性を強めるとか、具体例の後にはそのまとめの話がくるとか、よくある話の展開の仕方です。
これって、大人にとっては当たり前のことのように思えるのですが、読書しない子はもちろん知ってないし、教えても、身にくまで意外と時間がかかります。読書している子であれば、そういう論理展開の仕方がすでに身についていたり、身についていなくても、教えれば、「あ〜そういえばそうね」という感じですぐに腹落ちして、読むときに意識できるようになります。一般的な論理展開の仕方を意識できると、文章中のどの部分が重要かが明確になり、得点に結びつくのはいうまでもないですね。
でも読書ばっかりしていても国語の成績は上がらない
ということで、僕は読書は国語の成績を上げるのに効果があると思っています。ただ、気をつけてほしいのは、読書だけしててもあまり点数には表れない、ということです。先ほども言ったように、読書は筋トレのようなもので、筋トレばっかりしていても野球は上手くならないのと同じです。
国語で点数を取るためには、正しく読めること、そして問いを解けること、大きく分けてこの2つの能力が必要ですが、読書は「正しく読めること」の土台を築く行為です。土台を築いたら、今度は「正しく読める」能力を完成させる必要があります。そこで精読の訓練が出てきます。そして正しく読めるようになったら、今度は問いを解くための考え方やテクニックを身につける必要があります。なので、読書は国語の成績を上げるのに効果があるけど、そればっかりやっていても成績は上がらない、ということは意識しておいてください。
読書は国語の成績を上げるのに効果があるよ、と言うと、読書しなくても国語の成績は良かったという人が反例として出てきますが、それはその人が国語の素質があっただけかもしれません。もちろん国語にも素質ってものはありますから、そういう人は国語の読解問題を解いているだけで十分な読書量になっているのです。
また、読書していても点数が悪かったよという人もいると思います。そういう人は素質が乏しかったという可能性もありますが、それよりもよくあるケースが、精読の仕方や問いを解く技術が身についていなかったんじゃないかな、と思います。
ということで、今日は読書は国語に効きますよ、筋トレ的にね、という話でした。
それでは、また。
ーーーーーーーー
中学受験用の学校検索サイト「スクマ!」を運営しております。
スクマ!では、学校までの通学時間や乗換回数、塾別偏差値や進学実績など、様々な条件で学校を検索できるだけでなく、説明会のキャンセルを通知する機能など、学校選びを便利にする機能がたくさんあるので、是非一度使ってみてください。