家庭教師の雑感

家庭教師をしている横井が、受験や勉強に関するお役立ち情報を書きます。

合同説明会で巣鴨中学に話を聞いたら算数への思いが超熱かった

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夏休み期間に、教え子の志望校選定のため合同説明会に行きました。合同説明会って好きです。色んな学校の先生と話せるので。とはいえ、こちらから積極的に質問しないとあまり得るものはありません。パンフレットもらって帰るだけになってしまいます。恥ずかしがらずに色々聞きましょう。そうすると自分のためだけにプチ説明会をはじめてくれますよ。

私は色々回って話かけ、色んな学校にプチ説明会をしてもらいました。本物の説明会並みにめちゃめちゃ話してくれる先生と、全然話してくれない先生にはっきり分かれて面白かったです。中でも巣鴨中学の話が一番記憶に残っています。感動した!とかではなく、なるほど〜!それは斬新な考え方だなぁと興味引かれた感じです。

 

巣鴨中学とは

巣鴨中学とは四谷偏差値54の都内池袋駅近くの進学校です。中高一貫校で男子校です。巣鴨中学の算数重視主義は、中学受験生には有名だと思います。だからか、同程度の偏差値の学校に比べて算数の問題の難易度は高いです。また、2019年入試から算数のみで受験できる算数選抜という試験が新設されました。

入学してからも算数改め数学重視で、1週間の数学の時間数は7コマ。他の学校では5コマや6コマの学校が多いので、数学に多くの時間を割いていると言えます。そして中学3年生から成績によるクラス分けが行われます。上のクラス(数学クラス)と下のクラス(一般クラス)の2クラスに分かれます。その基準が数学の成績。他の教科は関係なく、数学の成績がよければ上のクラスに入れます。

これだけで算数・数学重視が十分伝わってくるし、学校の先生も公言しています。

 

巣鴨中学はなぜ算数・数学重視なのか

すごく気になるじゃないですか。なんでそんなに算数・数学重視なの?と。それで合同説明会で聞いてみました。確か数学科の先生が受け答えしてくれたと思います。巣鴨の先生は30分くらい熱弁してくれました。プチ説明会ありがとうございます。

 

私「算数選抜に興味がありまして。算数のみで評価されるということは、やはり算数に重きを置かれているということでしょうか?」

先生「そうですね。算数・数学重視です」

私「(おお、はっきりと言うんだ。)なぜ色々教科がある中で算数重視なんでしょう」

先生「生徒の素質を平等に見れるからです。平等というのは、例えば地理であれば、家族が旅行好きであれば自然と得意になってしまう。行ったことのある地域の問題なんかが出たら非常に有利に答えられる。国語もそうです、子供の頃から周りにたくさんの本に囲まれて育った子は有利でしょう。理科も、親の実家が田舎の方で、虫遊びをよくしている場合は生物で有利になります。」

私「あ〜なるほど、算数は育ちの環境関係なく、子供の素質を評価できると?」

先生「そうです。算数だけは純粋にその子供の素質と努力を評価することができます。また論理的思考は全ての思考の土台。社会に出て仕事をしていく上でも基本となるまさに生きる力です」

(先生の熱気がすごい)

私「なるほど・・・確かに論理的思考力は鍛えられますね」

 

というような会話をしました。他にも昨今の需要に応えて英語教育にも力を入れているとおっしゃっていました。

 

私としては、なるほど一理ある、という感じである程度は納得しつつも、ちょっとした疑問も感じました。

 

疑問1:算数の能力を育てるのに有利な環境もあるのでは?

例えばそろばんを習っていたら計算は速くなるでしょうし、私の友達に親が物理系の教授で家には数学や物理の本がいっぱいあって、数学や物理の話をよく聞いたりしていたという友達もいます。とはいえ、確かに他の教科よりも、有利な環境で育つ人は少ないかもしれません。

 

疑問2:平等であることにこだわる必要ないのでは?

個人的には、平等であることにこだわる意味ってなんだろうなって思いました。仮に算数・数学が平等だとして、数学のみで受験できる大学はごく一部なので、巣鴨の考えでいうと、大学受験は不平等。さらに、就職活動なんてものは不平等なことがいっぱいあります。

この先ずっと不平等だからせめて中学受験だけは平等にしてあげようということなのかな?

単純に将来性豊かな、能力のある子供を採りたいというなら、平等さなど気にする必要はないでしょう。田舎で育って、虫に超詳しくて生物大得意な子供がいたとすれば、素直にその子供の生物知識を評価すれば良いんじゃないかなと思ったりします。

 

疑問3:論理的思考力は国語でも鍛えられるのでは? 

算数・数学で論理的思考力が鍛えられるのは間違いないでしょう。でも国語でも論理的思考力は鍛えられます。説明文・論説文は論理的思考で書かれた文章なので、それを読む力をつけることは論理的思考力をつけることに繋がります。

でも算数・数学で鍛えられる論理的思考力と国語で鍛えられる論理的思考力はちょっと違うと考えています。前者は、超厳密・超客観的なんですよね。ある数学の問いに対して正しい答えは一個だけで、それは誰がみても一片の疑問なく正しいと認識するものです。

でも国語は違うんですよ。論理的思考をしたとしても別の結論を導き出すことができます。

例えば「子供を愛しているから好きなものを買ってあげる」という文は納得できます。一方で、「子供を愛しているから好きなものを買ってあげない」という文もありえます。なんでも好きなものを買ってあげると、我慢を知らない子供に育ってしまうので、子供の将来を思ってあえて買わない選択をするということですね。

絶対の唯一解がない、いくつも正しい主張がある中で、どんな主張でも理解できるし、必要に応じて、自分の主張を相手に納得させることができる、それが国語の論理的思考力だと思います。

で、世の中の多くの仕事で必要とされるのは国語の論理的思考力だと思うんですよね。前職の経営コンサルティング会社でも必要とされたのは、主に国語の論理的思考力でした。

なので、算数・数学の論理的思考力も必要だけど、国語の論理的思考力もそれ以上に必要なんじゃない?と思います。

 

とまぁちょっと疑問を感じはしましたが、会話していた時の先生の熱意が素晴らしくて、ええ学校やんって思いました。信念がある学校は好きです。自分が信念に完全賛同するかは別としてね。私も8割方賛同ですよ。少し疑問を感じただけで。そもそも誰かの信念に完全賛同するなんてことは滅多に起きないですし。

巣鴨なかなかいいこと言うじゃんって思った方は選択肢の一つに入れてみてはどうでしょうか。

 

 

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