中学受験において、塾なしで難関校に合格する例は少ないと思いますが、幸運にもその例に立ち会えましたので、その勉強内容をご紹介します。
その生徒は、四谷大塚の9月合不合判定テストの偏差値が57でしたが、最終的には四谷偏差値65程度の学校に合格しました。
算数と理科(思考分野)が得意で、思考力が一級品。解答まで多くのステップが必要な難問でも食らいついて解くことができる。その一方で、典型題をポツリポツリと落としてしまう状態でした。
思考力が優れているために、典型題を典型題だと見抜けなくても、独自に考えて解けることも多い。だけど、時々わからなくなることがある。そんな状態でした。
また、理科(知識分野)や社会の暗記は、小6の9月段階ではまだまだ仕上がっておらず、9月の社会の偏差値は40程度。ただ、ご家庭もおそらく本人もそこまで焦っておらず、基礎知識の定着を着実に積み重ねていけば良いと、どっしり構えていらっしゃいました。
そこで私の方針としては、算数・理科(思考分野)をとことん伸ばして、理科(知識分野)社会は大失点をしないレベルにするということでした。国語は現状維持(知識を継続して反復する程度)で良いと判断しました。
秋の段階では過去問は軽めに週1回程度、穴を見つけるために解きました。過去問をバリバリといて、過去問の傾向に慣れるよりは、まだ地力を上げる段階だと考えました。
それでは各教科ごとの勉強内容(方針・テキスト・選定意図と使い方)を説明します。
算数
方針
算数で稼ぎたいので可能な限り完璧に仕上げたい。
思考力を武器としたいので、思考力をさらに鍛えつつも、典型題の穴もなくしたい。
思考力は難問が掲載してあるテキストと過去問を用いて鍛えました。ただ、学校の傾向として特別な閃きが必要な難問ではなく、とっつきやすいが思考ステップが多くて途中で混乱してしまうような問題の訓練をしようと思いました。
典型題は漏れなくおさえるために複数のテキストを併用しました。
使用テキスト
- 予習シリーズ6年下(難関校対策)
- 日能研夏期講習テキスト応用
- 予習シリーズ入試実戦問題集(難関校対策)
- 出る順過去問計算
選定意図と使い方
・予習シリーズ6年下(難関校対策):典型題及び難問用
これは普段コツコツと進めるためのものです。典型題のみならず高度な思考力が必要となる問題も入っており、典型題を穴埋めしつつ、思考力も伸ばせるバランスの取れた教材です。ただ、典型題には漏れがあるので、別のテキストで補います。
内容としてはまず典型題のベストセレクション LEVEL I、ベストセレクション LEVEL II、ベスセレクション LEVEL Ⅲと並んでいて、難易度はI<II<Ⅲで、Ⅲはかなり難しいです。
ベストセレクションの後には、基本問題と練習問題が続いていて、練習問題の後半はかなり難しくなっています。
算数で点数を稼ぎたいので、全ての問題に取り組みました。ただ、やはり難しい問題はハマってしまうと大量に時間を消費するので、目標タイムを決め、それ以内で解くように意識し、目標タイムの1.5倍の時間がすぎたら切り上げるようにしました。
目標タイムは以下としました。
ベストセレクション LEVEL Iは大問1問2分
ベストセレクション LEVEL IIは大問1問3分
ベストセレクション LEVEL Ⅲは大問1問10分
基本問題は大問1問4分
練習問題は大問1問8分
・日能研夏期講習テキスト応用:典型題用
これは過去問で判明した典型題の穴を埋めるために使用します。前から順に解くのではありません。
上記の予習シリーズの典型題漏れを補うためのテキストです。市販はされていませんが、メルカリで購入可能です。
コース別問題と共通問題に分かれています。コース別問題は、応用コースに適した応用問題が掲載されており、共通問題はコースに関係なく取り組むべき典型題が428問掲載されています。
コース別問題は応用といっても、夏期講習テキストなので実は典型題が多く、典型題の中で応用レベルのものが多く掲載されています。
過去問で解けなかった問題の類題をこの中から探して演習します。ただ、類題を探すのは普段から中学受験算数に接していないと難しいので、プロに助けを借りると良いでしょう。(私は2022年9月現在指導枠は埋まっております)
・予習シリーズ入試実戦問題集(難関校対策):典型題用
これも過去問で判明した典型題の穴を埋めるために使用します。日能研夏期講習テキストに載っていない典型題でもこちらには載っていることがありますし、逆のパターンもあるので、日能研夏期講習テキストと併用します。
使い方は日能研夏期講習テキストと同様に、過去問で解けなかった問題の類題をこの中から探して演習します。
・出る順過去問計算
こちらで計算力を維持・向上させます。
毎日1ページ、本番さながらに計算スペースをしっかり確保してやります。問題集1ページにつきA4ノート2ページを計算用紙として使っていました。
以上が算数で取り組んだことです。
他の教科については後編でお読みください。
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