家庭教師の雑感

家庭教師をしている横井が、受験や勉強に関するお役立ち情報を書きます。

中学受験で親がガッツリ伴走するのはありか、なしか

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今回は、中学受験において、親がガッツリ伴走するのはありか、なしか、についてお話ししたいと思います。

 

僕のX(Twitter)をご覧いただいている方はもうご存知かと思いますが、僕は、中学受験における親の伴走、バリバリありだと思っています。

ただ、これは他の考え方を否定するものではありません。子供の自主性を奪うから親の伴走は控え目にすべきだ、という意見もあると思いますし、それはそれで正しいと思います。

 

中学受験は親の伴走なくして、子供のポテンシャルを活かし切ることは難しい

 

親のガッツリ伴走がありかなしかについては、中学受験の目的をどう捉えるかによるのかな、と思っています。僕は個人的には、中学受験の目的はただ一つ、志望校に合格することだと考えています。

もちろん、これは僕の家庭教師という職業柄、バイアスがかかっていると思ってください。家庭教師は生徒の合格を勝ち取るために存在していると考えているので、子供にエンジンがかかるのを待ち続けた結果、結局入試までエンジンがかからず、その子のポテンシャルを出しきれず、志望校に受かりませんでした、という状況は避けなければいけません。少なくとも、避ける方法があるなら、使わない手はないと考えています。

一方で、中学受験の目的を、受験を通じた人間形成(例えば自主性を育てるとか)などにまで広げると、伴走のしすぎはNGになるでしょう。

 

また、目的という論点以外に、中学受験の勉強量やその最適なやり方が、普通の小学生に管理可能なのか、という論点もあります。

例えば、Sapixの教材は非常に良質だと思いますが、毎回冊子で配られるので、テキストの管理が非常に煩雑になります。通常の小学生が、これをわかりやすく棚や引き出しに入れ、「あの範囲を復習したいな」と思った時に、適切なテキストをパッと取り出せるように整理できるかというと、ほぼ不可能なのです。家庭教師先の、しっかりした親御様でさえも、「あれ?あのテキストどこいったかな」とか「次のテストのためにどのテキストを復習すれば良いかわからない」などという状況になりがちなのですから。

ただ、1回1回冊子で配ることは、持ち運ぶテキスト量が少なくなるとか、生徒が授業に集中しやすくなるとか、いい面もあります。

Sapixほどではないにしても、他の大手塾でも小学生には管理が難しいことがあります。例えば、一旦覚えた範囲でも、忘れそうな頃に、弱い部分は再度復習すべきですが、その復習タイミングや復習すべき箇所をきちんと把握するというのは、子供には難しいものがあります。自主的に復習しなくても、ただ塾の授業と宿題をこなしているだけで成績を維持・向上できる子もたまにいますが、やはり少数派です。

ということで、子供に任せておくと、勉強管理がうまくいかず、ポテンシャルを活かしきれないということが往々にして発生します。

 

ここで、理想論的には、親が手伝う期間をしばらく設けて、子供に勉強の仕方を学習させ、その後はだんだん手を離していく、というプロセスを辿りたくなりますよね。ただ、これもなかなか難しいのが現実です。これは、勉強の仕方を親から学んで、より良い勉強方法を身につけようという思いのある子供が、まず少ないということが一点。そしてもう一つは、塾の勉強内容が、時間が経つにつれて、だんだん難しく、そして量も多くなっていく、というのがもう一点。なので、だんだん手を離していくというより、だんだん管理が強くなる、ということになりがちです。

 

このようなことを背景に、10年、20年前に比べて、伴走している親御様が増えているというのが僕の印象で、このことがさらに親御様が伴走せざるを得ない状況を作っています。他の家庭が親の伴走で成績をブーストしている中、自分の家庭だけは伴走しない、という選択肢をとることは精神的に難しいです。

 

中学以降も伴走するが、段々手を離すことを意識して

 

以上のような理由から、僕は昨今の中学受験においては、親の伴走はバリバリありだと思っていますが、そうすると、子供の自主性が育ちにくい、というのも事実です。ただ、これはもう中学以降のミッションに回せば良いと思っています。中学受験期間は、ひたすら成績を上げることに専念する。勉強における自主性は中学以降で育てる。そうスッパリ分けた方が、精神衛生上良いですし、中学受験の成績を上げるという点においては効果が上がります。

その代償として、伴走は中学以降もしばらく続くものだと覚悟してください。中学受験期間にバリバリ伴走すると、やはり多くの子は、中学入学後も「一人で勉強ってどうやるの?」という状態になりがちです。

でも大丈夫です。中学の勉強量は、中学受験時代よりもはるかに少なく、時間に余裕があります。また、中学の勉強は、中学受験に比べると難易度も容易で、テキストには詳しい解説もついています。そういう、自分で勉強しやすい環境が整った状態であれば、最初は親が引き続き伴走するけれど、段々手を離していくことは十分可能です。

ここで、やらない方が良いことは、中学で成績が下降気味だからと言って、中学受験時代のようにベタつき伴走することです。そうすると中学でも自主性が育たず、高校生になって痛い目を見ることになります。もちろん、高校進学が危ぶまれるレベルだと、ガッツリテコ入れすべきですが、そうでないなら、多少成績が下がっても、段々手を離していく方向で進めることが大切かなと思います。

 

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