新しい生徒を受け持ったときに必ず確認することの一つが、忘却曲線、つまり記憶がどれぐらいの期間で消えてしまうか、です。
(この記事では、忘却曲線という単語を、よく取り上げられる「エビングハウスの忘却曲線」とは異なる意味で使っています。)
記憶を定着させるためには繰り返し覚えることが必要ということは、誰しもが知っていることではありますが、ではどの程度のスパンで繰り返すべきか、ということを知っている人は少ないように思います。
もちろんそれは個人個人で違うものです。この記事を読んでいる貴方は、貴方自身の忘却曲線を知っていますか?
効率良く暗記するためには、自分の記憶がどの程度の期間でどの程度減少するのか把握することが不可欠です。この記事では、どの程度記憶が残っているときに再暗記するのが良いのかと、そのタイミングを知るための方法について書いていきます。
記憶が3割程度残っているタイミングで再度暗記する
暗記というものは、単に繰り返せば良いのではなく、タイミングが非常に大事です。
タイミングが早すぎると記憶定着の効果は小さく、遅すぎるとほとんど忘れてしまって、また0から覚えるのと変わらない状況になります。
ではどの程度記憶が残っている状態で再度暗記すべきかですが、私の経験上は3割程度残っている時に再暗記するのが最も効率が良いと感じています。
3割程度前回の記憶が残っている状態であれば、思い出すのも速く、また一旦思い出すと強く定着すると感じます。
私の場合、「ギリギリ前回の記憶を掘り起こすことができた」という感覚を得られた時に、一番記憶の定着が進むのです。「あ〜やったやった!」という感覚です。
この感覚を得られるのが、概して、前回のことを3割ぐらい覚えているタイミングなのです。
個人差があるので3割が絶対ということではなく、一つの目安として考えてください。3割程度しか残っていないと、忘れてしまったことを思い出すときに「あ〜やったやった!」という感覚を得られない人もいるでしょう。この感覚を得られるタイミングであることが大事です。
記憶が3割残っている期間を見つける方法
では3割残っている期間をどうやって把握するかですが、何回か実際に試すしかないです。
まず1~2時間ほど、なんでも良いので暗記作業をしてみてください。そして翌日同じぐらいの時刻に、確認テストをします。もちろん、直前に見直すような行為はNGです。確認テストの時まで、暗記した事項を一切見ないようにしておいてください。
確認テストをしたあと、全問中何問正解したか割合を出します。これが3割程度なら、再度暗記するべきタイミングは「暗記した日の翌日」となります。2割や1割の正答率の場合は、3割程度は翌日に持ち越せるように暗記の仕方を工夫した方が良いです。
私が生徒と行なっている暗記のやり方を記載した以下の記事が参考になると思います。「行き戻り暗記」と「通しで確認」という作業をご覧ください。
3割より多く残っている場合は、1日よりもっと長い期間記憶を保てるということです。
次は別の範囲を暗記し、1週間空けてみましょう。そして確認テストをし、正解した割合を出します。3割程度であれば、「暗記してから1週間後」が再暗記するべきタイミングとなります。1~2割であれば、「暗記してから3~4日」が再暗記するべきタイミングでしょう。
3割より多く残っている場合は、次は2週間空けて同じことをします。これを繰り返し、何週間で記憶していることが3割程度になるかを確認します。
2週間〜4週間ぐらいが標準だと思います。中には3ヶ月ぐらい残っている生徒もいましたが、その生徒はかなり記憶力が良いと思います。
再々暗記の忘却曲線も把握する
再暗記すると非常に記憶が定着し、かなりの期間記憶を保つことができます。とはいえ、徐々に忘れていくのが人間というもの。
再暗記したことが、どれぐらい記憶に残るかを確認します。今度は3割〜5割の記憶が残る期間を確認します。前回と同様、3割程度残るまで待っても良いのですが、あまり期間が空きすぎると、その間に行われるテストで点数が取れなくなるので、5割程度でも復習することとします。
再暗記した日から1ヶ月後に確認テストをし、正解した割合を確認します。3割〜5割程度であれば、再々暗記すべきタイミングは再暗記した日から「1ヶ月後」となります。
5割よりはるかに多く(7割以上目安)正解できたのであれば再々暗記すべきタイミングは「2ヶ月後」で良いでしょう。
再々暗記まで行えばかなり記憶は定着し、テストの間違い直しの時に、関連知識を確認する程度で記憶を保持することができます。
効率の良い暗記は受験において超強力な武器になる
私は家庭教師をする中で、効率の悪い暗記方法をしている生徒をたくさんみてきました。テスト前だけに詰め込んで数ヶ月放置し、完全に忘却してしまうパターン。頻度高く復習しすぎて時間を無駄に使ってしまうパターン。
忘却曲線を把握し、適切なタイミングで暗記できれば、そのような非効率な暗記方法と比べて、半分以下の時間で記憶を定着できるようにもなるでしょう。それは受験生活で合計すると、数百時間の節約になる場合もあります。
なので、私は暗記のタイミングにはとても気を使っています。
普段の勉強の中で、復習のタイミングを色々変えてみて、是非自分の忘却曲線、ベストな暗記のタイミングを知ってください。
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